2011年7月 1日 (金)

“血液サラサラ”とは?

【血液サラサラと生活習慣】

 健康に関する話題として、メディアや日常会話などでも、“血液サラサラという言葉が盛んに使われる。これは血液の粘ちゅう度を表す言葉である。
粘稠度が高くなる--つまり、血液がドロドロになる仕組みには、その成分や性質が関係している。
人間の血液は、全身を休むことなく駆け巡っている。その量は体重のおよそ8%程度あり、血液の成分は液体成分である血漿と、細胞成分である血球とに分けることができる。
 血球は血液の容積の約40%を占めており、赤血球、白血球、血小板で成り立っている。血漿はおよそ90%が水分で、残りはたんばく質などのエネルギー源となるものである。どちらも“血液サラサラに関係しているが、どちらかというと、血球の方が関わりが深い。
赤血球は、血球の中で最も数が多い。直径約8マイクロメートル(=μm、マイクロは100万分の1)、厚さ約2μmの円盤のような形をしていて、変形能(形を変える能力)が高い。白血球は、形や性質の違う顆粒球、リンパ球から成り立っていて、赤血球より形が大きい。血小板は凝集能(凝集する力)があり、止血に関わる。
 赤血球や白血球は、形を変えたり重なり合いながら、自分の大きさよりも細い5~6μmの毛細血管を通過していく。ところが、何らかの原因で赤血球の壁が硬くなり、変形能が低下したり、白血球の粘着能(粘着する力)や血小板の凝集能が高まったりすることで、“サラサラ血液”は流れの悪い“ドロドロ血液”になる。このため、毛細血管を通過しにくいうえに血栓ができやすく、脳梗塞などのリスクが高まるのだ。

【定期健診で各種数値を確認】

 原因はいろいろ考えられるが、食生活とストレス、ライフスタイルの影響が3大要素だ。
 食事はできるだけ規則正しく、栄養バランスも考慮する。野菜や食物繊維の多い食材などを多く取り、肉類など動物性脂肪や飲酒などは控えめにする。また、禁煙や運動不足の解消を心がけ、睡眠を十分に取る。そして、ストレスを上手に発散する。このように、“ドロドロ血液”対策は、ごく当たり前のことなのである。
 定期的な健診によって、コレステロール値、中性脂肪、血糖値、血圧などを確認し、できるだけ正常に保つ努力が必要だ。HDLコレステロールは、血管壁に付着しているコレステロールをはがして、肝臓に戻す、いわゆる善玉コレステロール。運動によって増えてくる。
 悪玉のLDLコレステロールを下げる食べ物としては、EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)を多く含むイワシやサバ、サンマといった青魚や、ポリフェノールを含む赤ワインなどが有効だ。

手のひらの汗がひどく、握手出来なない 病気かも?

【病気かもしれない極度の汗】

 全身あるいは局所に汗が多量に出る「多汗症」は、れっきとした病気で、発汗異常の1つである。
 全身性の多汗症は、気温の高い時や発熱時に起こる。これは、甲状腺機能充進症や糖尿病などの病気がそのもととなる。また、妊婦や肥満の人にも起こる場合がある。
 局所性の多汗症では、通常、手のひらや足の裏、わきの下など、体の一部にびっしょりと汗をかく。この場合、全身性の病気とは関係ないが、発汗調節機能や自律神経の異常が原因であることが多い。
 治療法としては、内服薬、外用薬、神経ブロック、皮内注射、手術などが挙げられる。それぞれにメリットとデメリットがあるが、まず最初は内服薬治療を試みる。
 内服薬治療では、自律神経失調症改善薬と、多汗症の適応になっている胃・十二指腸潰瘍の薬を組み合わせて処方する。手にも足にも有効だが、服用を継続しないと効果が持続せず、効果の出る人と出ない人がいる。
 外用薬治療は、塩化アルミニウム液を毎晩、手のひらなどの患部に塗る方法だ。だが、単独では治療効果がやや低いので、内服薬と併用することが多い。2週間様子を見ても効き目が十分でない場合は、ほかの治療法を試みる。神経ブロックは、麻酔科の医師に首に薬剤を打ってもらう方法である。
 皮内注射法は、手のひらの十数カ所に、ボツリヌス毒素を注射するものだ。治療効果が高いが、保険は適用されない。効果が持続するのは3カ月前後なので、繰り返し注射をする必要がある。また稀に、手のひらの筋力が低下する恐れがある。

【医帥と十分な話し合いを】

 手術ではどこの汗を減らすかによって、手術する部位を決める。手のひらの場合は、肋骨の上から2番目と3番目の骨の内側にある、手に関わる交感神経を内視鏡下で2ヵ所焼灼する(胸腔鏡下胸部交感神経節焼灼術)。軽く済ませる場合は、2番目の交感神経だけを焼灼する。
わきの下の汗も止める場合は、4番目を焼くことがある。
 手術は全身麻酔で行い、時間は約30分ほど。傷は小さくて済むが、通常は2~3日の入院が必要だ。手術の場合は保険が適用される。手のひらの発汗を抑える効果はほぼ確実で、足にも及ぶことがある。また、1回の治療で効果が持続するのもメリットだ。一方、治療した部位とは別の胴体などに、不快を感じるほどの多汗が生じる副作用が起きるケースが1~2%ほどある。
 そこで重要になるのは、最初のインフォームドコンセント(十分な説明と同意)だ。特に、最終手段である手術を考慮する場合は、本人がどれくらい汗を不快に思っているのか、困っているのかで決める。中には精神的なものだと考え、精神・神経科を訪れる人も少なくないが、まずは皮膚科で診察を受けてほしい。

2011年6月30日 (木)

お尻から出血 痔?

【痔対策は生活習慣の改善から】

 肛門部の疾患の総称を「痔」と呼ぶ。わが国では、成人の約3分の1が罹患していると言われている。
 痔は、肛門のどの部位にどのような症状があるかで区別され、痔核(いぼ痔)、痔瘻、裂肛(切れ痔)がその3大疾患である。患者さんの割合は、それぞれ50%、25%、15%となっており、複数の疾患を合併しているケースも少なくない。また、近年ではこれらの疾患で大腸肛門科を受診する患者さんが増えている。
 主な自覚症状は「出血」「痛み」「腫れ」の3つ。患者さんの約75%が、出血を訴えてやってくる。手や足とは異なり、肛門は簡単に見ることができない部位であるため、痔に気づくには自覚症状が重要である。
 例えば、いぼ痔は「痛みは少ないが、出血しやすい。肛門から何か飛び出ている感じがある」。また、切れ痔は「(患部が)ヒリヒリと痛むが、出血は少ない」。痔瘻は「痛みや出血はほとんどないが、膿が出る」といった具合だ。
 このように、いぼ痔は出血、切れ痔は痛みという特徴があるが、疾患に対して抱いているイメージと異なるのではないだろうか。そのほかの重要な手がかりとして、切れ痔の患者さんには便秘気味な人が多いことも挙げておこう。便を無理に出そうとすると、硬くなった便が肛門部を傷つけてしまうからだ。痔であることが発覚すると、「すぐに手術になるのではないか」という不安から、医療機関に行くのをためらう人も多いだろう。だが、肛門科の医師ならば、病気が進行した重度の患者さん以外に手術を施すことはほとんどない。まずは生活習慣を改めるところから始まり、薬による治療を経て、それでも改善しない場合に手術を視野に入れる。
 特に生活習慣の改善として、①血行促進のために入浴をする、②立ったまま・座りっぱなしの状態を避ける、③便秘や下痢を治し、排便習慣を見直す、④腸に刺激となるアルコールや辛い食べ物などを取りすぎない、などは効果が高い。

【恥ずかしがらず、早期受診を】

 また、人に見られる恥ずかしさも受診を妨げる要因だろう。その結果、薬局で売られている一般用医薬品で済まそうとする患者さんもいるかもしれない。だが、誤った薬を使い続けるとかえって症状を悪化させてしまう。薬局では、薬剤師に相談して症状に合った一般用医薬品を買うようにしたい。
 また、早期に受診し、治療を始めれば、それだけ早く治すこともできる。もちろん、肛門の痛みや出血の原因は、前述の疾患がすべてではない。ガンやポリープなど重大な疾患の場合もあるので、自己判断は禁物だ。受診する際は、肛門の疾患に精通した、肛門科の専門医が望ましい。

気になるリンパ節の腫れ 良性? 悪性?

【気になるリンパ節の腫れ】

 リンパ管は、人間の免疫活動にとって、とても大切な役割を果たしている。
特にリンパ管の所々にあるリンパ節では、リンパ液中の細菌などの不純物を濾過する働きがある。首の回りで言えば、リンパ節は髪の毛の生え際や耳の前と後ろ、首筋のあたりにたくさん集まっている。
 風邪のウイルスや細菌が体内に入り込んだ場合には、リンパ節に白血球やリンパ球が集まり、細菌などと戦うために腫れが生じる。炎症が治まり、風邪などの症状がなくなってからも、"戦いの跡"としてリンパ節の腫れがしばらく残ってしまうことも少なくない。
 腫れといっても、直径1cm未満ではまず心配はないので、ここでは1cm以上の腫れについて考えよう。
 リンパ節の腫れは、感染症と関連した良性のものであることがほとんどだ。
 最近1カ月以内に、インフルエンザや風邪、扁桃腺炎、中耳炎、虫歯などにかかっていれば、まずそれが原因だと考えてよい。頭皮のできものなど、皮膚の感染からくる場合もある。
 花粉症などのアレルギーや、疲労がたまって免疫のバランスが崩れた時にも、腫れることがある。そのまま放っておけば、だんだん小さくなって、いつの間にかなくなってしまうだろう。
 猫に引っかかれた場合にも、その近くのリンパ節が腫れることがある。これはパルトネラという細菌による感染なので、医師の診察を受けた方がいい。
 また、主に10代後半の若い人に見られる伝染性単核症と呼ばれる感染症では、インフルエンザのような症状と一緒に、リンパ節の腫れ、高熱が1~2週間続く。キスをすることでも伝染するので、俗に"キッシング・ディジーズ"とも呼ばれている。
米国の大学生では、発症率は10%余りにも及ぶという。

【大きくなるようなら要注意】

 このように、リンパ節の腫れは、深刻な原因でない場合がほとんどだが、稀に悪性の場合もある。結核、リンパ節ガンや、甲状腺のガン、口の中のガン、肺ガンなどが転移した可能性も、少ないがある。
 1カ月以内の感染症に心当たりがなく、1週間様子を見ても小さくならず、逆に腫れが徐々に大きくなっていくようであれば、医師の診察を受けた方がいいだろう。
 医師は触診を行い、その硬さや触って動くかどうかなどを確認し、喫煙の有無、家族の病歴、年齢なども問診して、良性か悪性かをある程度判断する。悪性の疑いがあれば、超音波、CT(コンピューター断層撮影装置)、MRI(磁気共鳴画像装置)、細胞診などにより、適切な検査をすることになる。
 仮に悪性であったとしても、早期に発見することで、治る可能性は大きくなる。
目安の期間を過ぎても良くならない場合は、放っておかずに診察を受けてほしい。

2009年3月31日 (火)

油断大敵!ピロリ除菌しても胃がんになる

【ピロリ除菌後も定期検査を】

 胃や十二指腸潰瘍の治療として、胃の中に生息する細菌、ヘリコバクター・ピロリ菌を除菌する方法が一般的になってきた。胃・十二指腸潰瘍患者の9割はピロリ菌に感染していると言われている。
 従来、潰瘍は一度発症すると再発を繰り返すのが特徴だった。しかし、ピロリ菌が潰瘍の原因であることが分かり、抗生物質を内服してこのピロリ菌を胃の中から退治する除菌療法が普及してからは、潰瘍の再発率は著しく低下した。
 さらに最近、ピロリ菌に感染していると潰瘍だけでなく、胃ガンになる危険性が高まることも分かってきた。除菌療法は胃ガン予防にも一定の効果があるとして期待されている。
 だが、ピロリ菌を退治して症状がなくなれば、もう潰瘍やガンの心配もないものと安心してはいないだろうか。実は除菌療法を受けても、胃潰瘍の再発や胃ガンを完全に防げるわけではないのだ。
 ピロリ菌の除菌に成功した患者は失敗した場合に比べて、潰瘍の再発率は低く、胃ガンの発症も3分の1程度に減少していた。ところが、発症率は下がったものの、除菌できた患者のからも胃ガンが発見され、約10%で潰瘍が再発していた。特に、高齢の男性やもともと深い潰瘍のある人は、除菌しても潰瘍が再発しやすい。

【胃ガン発見が遅れるケースも】

 こうした現状の中で問題なのは、ピロリ菌の除菌療法の効果が広まるにつれ、除菌療法を受けた後、経過観察のための通院をやめてしまうケースが増えている点だ。
 除菌療法を行って、実際に除菌が成功する確率は約80%と言われるが、そもそも成功したかどうかの判定にさえ来ない人もいる。潰瘍の原因がなくなったという安心感と症状からの解放が、受診をやめてしまう大きな理由だろう。
 ピロリ菌の除菌療法が登場する前は、潰瘍は「繰り返す病気」であったため、内視鏡で検査を定期的に受ける患者が多かった。その結果、胃の状態を一定の頻度でチェックでき、生命に関わる危険の少ない段階で胃ガンを見つけられることも多かった。
 だが、除菌して定期的な検査を受けなくなると、かえって胃ガンの発見が遅れる危険性がある。実際、除菌後、定期検査を受けずに胃ガン発見の機会を逃し、進行してしまってから見つかった患者もいる。
 ピロリ菌の除菌は、潰瘍の再発予防に加え、胃ガンの発症リスクを減らすのにも有効だと考えられているが、万能ではないことも覚えておきたい。症状がなくなっても油断せず、1~2年に1回は定期的に医療機関を訪れ、検査を受けてほしい。

原因不明の下血、小腸の病気かも?

【稀ではない小腸の病気】

 胃の内視鏡検査でも大腸の内視鏡検査でも病気の原因が分からなかったということは、小腸の病気かもしれない。こうした場合に勧められる検査が「ダブルバルーン内視鏡検査」である。
 ダブルバルーン内視鏡は、名前の通り、内視鏡の先端に2つの風船がついた構造だ。一般的に、消化管の観察に使われる内視鏡は柔らかいチューブ状だが、ダブルバルーン内視鏡は、柔らかいチューブとそれを覆う透明なカバーの二重構造になっている。
 チューブ本体にもカバーにも、その先端に風船がついている。通常の内視鏡で消化管の中を観察する時には、チューブを奥へと押し込むような形で検査を進めていくが、ダブルバルーン内視鏡検査では、風船を交互に膨らませたりしぼませたりしながら、チューブとカバーを交互に消化管の中へと進めていく。2つの風船を利用して、いわば"尺取り虫"のように消化管の中を奥へ奥へと進むイメージだ。
 ダブルバルーン内視鏡が市販されたのは2003年だが、それまで小腸を内視鏡で観察するのは非常に困難で、検査には長い時間がかかっていた。ダブルバルーン内視鏡なら、腸管が細くなったり途中で癒着しているといった問題がなければ、口からと肛門から、それぞれ約1~2時間の検査の組み合わせで、全長7~8mある小腸がほぼすべて観察できる。患者にかかる負担も通常の内視鏡検査とさほど大差ない程度にとどまる。

【同時治療も可能に】

 従来の検査法では原因が分からなかった消化管出血のうち、ダブルバルーン内視鏡検査により7割程度まで原因が特定できる。しかも、検査と同時に、内視鏡の先端から専用の器具を出し、出血している血管を止血する治療を行うことも可能だ。
 小腸の腸管が狭くなり腹痛などを起こしていた場合も、従来はその部位が検査で特定できず、開腹手術せざるを得ないことがあった。ダブルバルーン内視鏡の登場で、風船に似た専用の器具で腸管を中から広げる、患者の負担が軽い治療が可能になった。また、小腸のガンも早期発見が難しかったが、ダブルバルーン内視鏡検査で専用の器具を用いて組織を採取することで、確定診断に至るケースが増えている。
 これまで小腸の病気は稀なものだと考えられてきたが、それは、病気を見つけられなかっただけだ、ということが明らかになってきた。最近ではカプセル内視鏡が医療用具として認可され、さらに小腸の病気が高い確率で発見されると予測される。
 ダブルバルーン内視鏡は、既に全国200施設以上に導入されている。恐らく、大学病院の多くで検査を受けられるはずだ。小腸の病気が疑われた場合には、ぜひ一度、ダブルバルーン内視鏡検査を受けてみてほしい。

死に至る急性アルコール中毒! 花見のシーズン飲みすぎに要注意!

 花見や新入社員歓迎会などで、つい酒を飲みすぎやすい4月。対処方法をまちがえると死に至ることも。
 東京消防庁はホームページで、飲みすぎを注意するとともに緊急時の対処法を紹介している。
 普段通りに息をしているものの反応がない人には、呼吸を妨げない「回復体位」をとらせるよう、イラスト入りで説明した。
 体を横向きにし、頭を反らせて気道を確保する。脈がないなど生命にかかわる症状の場合には、AED(自動体外式除細動器)を使った心肺蘇生法をとれるよう手順を解説した。
 飲みすぎを防ぐのが第一だが、万が一に備えて確認しておくとよいだろう。

高血圧だとなぜ悪い?

 高齢者の医療費全体の32%は高血圧と、高血圧により起こる病気(虚血性心疾患、脳血管疾患など)の治療費という。
 厚生労働省のサイト「高血圧ホームページへようこそ」は、高血圧の人の生活習慣や食事の改善提案をQ&Aなどを用いて解説している。
 高血圧を防ぐ日常生活としては、適度な運動を推奨し、ストレスや急激な温度差を極力避けることを勧める。また食事面では、塩分(ナトリウム)を減らした献立をとりつつ、ナトリウムの排泄(はいせつ)に役立つカリウムの摂取を呼びかけている。

2009年3月26日 (木)

審美歯科てご存知? 美しい歯で健康的な笑顔に

 笑ったときに口元から銀歯が見える、歯並びが気になる、などと悩んでいる人も多いだろう。
 虫歯治療から一歩進んで、美しく健康な歯をつくり、健康的な笑顔をつくることが「審美歯科」治療の目的だ。
 特に歯並びが悪いと虫歯や歯周病にもなりやすく、高齢になって苦労をすることもある。
 気になる人はフォーユーメディカルが運営する「審美歯科.jp」をのぞいてみるとよい。
 歯列矯正や歯を白くするホワイトニングなど、審美歯科にかかわるさまざまな治療方法と、その平均的な価格などを掲載している。
 「お悩み別チャート診断」コーナーでは、案内役のヒツジが尋ねる質問に向答していけば、最適な治療法を教ズてくれる。

片目でみる風景の真ん中がゆがんで見えづらい?

【視野の中心部が見えにくい】

 人間の目をカメラに例えた場合、見える景色が写り込むフィルムの役目を果たすのが網膜である。その中心部にある黄斑(おうはん)が加齢によって変性し、視力に障害が起きる病気を加齢黄斑変性と言う。
 視野の中心部分がゆがんだり、暗く欠損したりして、正常には見えなくなる。片目だけに症状が出た場合、両目を使っている限り、なかなか症状に気づかないことが多い。気づいて受診する頃には、病状がかなり進んでいるケースが目立つ。
 欧米では、高齢者の失明原因のトップである加齢黄斑変性だが、近年、日本でもその患者数が増えてきた。白人に加齢黄斑変性が多いのは、白人の目が光の刺激に弱いことが主な理由と言われているが、日本で患者数が増えた原因には、高齢化に加え、食生活の欧米化の影響もあるのではと言われる。60歳以上に多く発症し、男性の方が女性の約3倍と患者数が多い。また、喫煙も危険因子の1つであり、1日20本以上吸う人の発症率は吸わない人の約3倍という調査結果もある。
 加齢黄斑変性の診断には、造影剤を使った眼底撮影や、OCTと呼ばれる網膜の断面図撮影など、いくつかの検査が必要となり、検査には半日から1日を要する。

【新しい治療法PDTが有効】

 加齢黄斑変性には、滲出型と萎縮型がある。滲出型では黄斑部に正常な血管とは異なる新生血管が発生し、様々な病状を起こす。視力低下が進み、失明に至ることも珍しくない。萎縮型は、黄斑部の組織が老化によって萎縮し変性するために病状が表れる。だが、進行が極めて緩やかなため、特に治療は行わず、定期的に新生血管ができていないか検診のみを行う。
 滲出型の場合は、かつては決定的な治療法がなく、視力低下はまぬがれなかった。最近はPDTと呼ばれる光線力学療法が有効であることが分かってきた。PDTでは、ある薬剤を静脈に注射し、新生血管内にとどまったこの薬剤に特定の波長の光線を照射する。すると薬剤が活性化し、新生血管が破壊される。今まで治療として行われていたレーザー光凝固に比べ、周りの組織を破壊することなく新生血管だけを破壊でき、効果的に視力低下の進行を遅らせることができる。
 PDTによる治療は、施術後、自然光を避けなければならないため、3~4日の入院が必要となる。現在、PDTを行えるのは資格を持つ認定医に限られている。認定医のいる病院は、眼科PDT研究会のホームページで検索できる。
 加齢黄斑変性は、老化現象の一種であるが、網膜に栄養を与える働きのあるオキュバイトというサプリメントに、視力低下の進行を遅らせたり、予防効果があるという報告もある。薬局で市販されているので、日頃から予防のために摂取するのもよいだろう。